城間医院ブログ

西原町の西原中学校向いにあるクリニックです。
昭和52年に精神科・心療内科のクリニックとして開院し、
平成28年4月からは内科診療も始めました。

胃潰瘍と十二指腸潰瘍

健康よもやま話

 人間が口から食べたものは食道・胃・小腸(十二指腸、空腸、回腸)・大腸・直腸へ流れてきて、最後に肛門から便として出て行きます。この食べ物の通り道である一本の管を消化管と呼びますが、その消化管の内壁が障害されると様々な病気が引き起こされます。そのひとつに「潰瘍(かいよう)」があります。

 消化管の内壁は順に、粘膜層→粘膜筋板→粘膜下層→固有筋層→漿膜層の5層構造ですが(下図参照)、様々な原因でこの内壁が障害され、2番目の粘膜筋板を越えてえぐられた場合に医学的に「潰瘍」と呼びます(ちなみにえぐられるのが1番目の粘膜層までなら「びらん」といいます)。潰瘍は消化管のどこにでも出来るのですが、胃に出来れば「胃潰瘍」、十二指腸に出来れば「十二指腸潰瘍」となります。

 潰瘍の原因は薬剤や喫煙、飲酒、コーヒー、ストレスなどが挙げられますが、今では1982年に発見されたヘリコバクター・ピロリ菌が最も重要視されています(60歳以上の日本人は60%以上の感染率)。また高齢者は様々な薬剤を内服している場合もあり、更に潰瘍形成の危険性が高くなります。また胃潰瘍は胃癌に合併することもあるため、注意が必要です。

 症状としてはみぞおちや背中の痛み、胸やけや悪心、腹部膨満感等があります。十二指腸潰瘍では空腹時痛が特徴です。時に出血を来し、口から血を吐いてしまう「吐血」や、吐血せずに血液が黒い便として出てくる「タール便」がみられることもあります(血液は消化管を流れる間にコールタールのように黒くなる)。これらの症状があれば胃や十二指腸の潰瘍を疑い、内視鏡検査を必要とします。

 潰瘍と診断したら原因の除去に加え、胃酸を抑える薬や粘膜保護剤等を服用します。基本的には外来治療ですが、必要に応じて入院治療を行います。その後も胃カメラで潰瘍の経過を追跡していき、もしヘリコバクター・ピロリ菌の感染が判明したら、その菌を退治する治療も行います。もちろん細胞を調べる病理検査で胃癌の除外も行います。

 皆様の中で、前述した症状がある方はいらっしゃいますでしょうか。もしかしたら潰瘍が原因かもしれません。当院では随時内視鏡検査を行っていますので、お気軽にご連絡ください(電話予約も承っております)。胃潰瘍と十二指腸潰瘍




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